一般小児科・発熱外来
Pediatrics・Fever
一般小児科・発熱外来
Pediatrics・Fever
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当院は、東京都より第二種協定指定医療機関に指定されており、外来において、受診歴の有無にかかわらず、発熱その他感染症を疑わせるような症状を呈する患者さんの受入れを行います。また、受入れを行うために必要な感染防止対策として発熱患者さん等の動線を分ける等の対応を行う体制を有しています。
咳や痰、鼻水、発熱などを呈する呼吸器(喉、気管、気管支、肺)の感染症で、それらのほとんどはRSウイルスやヒトメタニューモウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルス感染が原因となっています。ウイルス以外の見逃してはならない病原としては、溶連菌やマイコプラズマなどがあります。
当院では、上述のウイルスや溶連菌、マイコプラズマについては迅速診断が可能です。特に、乳児(1才未満)のRSウイルス感染症は重症化の恐れがあり、また幼児(6才未満)のヒトメタニューモウイルス感染症は肺炎を引き起こすことがあり、保育園・幼稚園での蔓延を予防する必要があるので、積極的に迅速診断を行います。インフルエンザウイルスについては、発熱後間もない患者さんには、高感度の検査機器を用いて検査します。また、肺炎を見逃すことがないよう、発熱と咳を呈している方や、長期間咳を呈している方などには、積極的にレントゲン検査を行います。
インフルエンザを除いて、多くのウイルスに対して、保険適用となっている抗ウイルス薬はないので、呼吸器系ウイルス感染症に対する治療は、全身管理と対症療法が中心となります。対症療法には主に、鎮咳剤、去痰剤、抗ヒスタミン剤、気管支拡張剤などがあります。咳や鼻水はウイルスを排除しようとする生体の反応でもあり、軽症の場合はこれらを止めるお薬を使わない場合もあります。また、気管支拡張剤は気管支喘息や喘息様気管支炎など気管支が収縮している疾患に効くお薬です。咳止めのお薬として、貼付して受診される方を時々見かけますが、気管支拡張薬の乱用は、動悸や手足の震えなど様々な副作用を引き起こす可能性があるので、聴診により気管支の収縮音の有無を確認したのちに、適切に使用します。
溶連菌感染症は、高熱、発疹、著明な咽頭発赤・咽頭痛など特徴的な症状を呈し、マイコプラズマは非定型肺炎といってレントゲン検査など画像検査を行わないと診断が難しい肺炎を呈することがあります。溶連菌やマイコプラズマに対しては抗生物質の投与が必要ですので、的確に診断し、早急に治療します。
ウイルス感染により吐き気や嘔吐、下痢を呈し、これらの症状のコントロールがうまくいかないと脱水になってしまいます。子どもの場合、ウイルス感染症以外にも嘔吐や下痢を呈する疾患は多く、例えば、髄膜炎など重篤な感染症もあり、早期の診断が大切です。
ワクチンの普及によりロタウイルスによる胃腸炎は少なくなりましたが、ノロウイルスをはじめ、多くの種類のウイルスが胃腸炎を引き起こします。胃腸炎を引き起こすウイルスに特異的な治療はなく、補液、制吐剤、整腸剤など対症的治療が中心となりますが、最も大切な治療は補液、すなわち、水分補給です。軽症〜中等症の脱水の場合には、点滴をするよりも、水分を飲む方が、症状が早く治ります。当院では、制吐剤や整腸剤の処方だけでなく、脱水を予防・治療するための適切な経口補液剤などの水分補給方法を指導致します。また、重い脱水の場合は速やかに点滴をしますが、長時間の点滴が必要と判断した場合には入院施設をご紹介致します。
尿路感染症は小児には比較的多い感染症で、ほとんどが抗生物質で治癒します。しかし、尿路感染症を何度も繰り返す場合は、尿路の構造異常や、排尿機能障害などを疑います。背景にこの様な疾患があると尿路感染症を繰り返し、重症だと腎盂腎炎や腎不全を引き起こす可能性があるので、専門病院での精密検査が必要となります。
咳や鼻水などの呼吸器症状がない赤ちゃんの発熱は、尿路感染症かどうかを調べる必要があります。当院ではこの様な場合、積極的に尿検査を行います。年長児の場合は、当院に設置してある尿流量測定装置を用いて、簡単な排尿機能検査を行うこともできます。
水痘(水ぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、麻疹(はしか)、風疹(三日はしか)、突発性発疹、伝染性軟属腫(水いぼ)、伝染性紅斑(リンゴ病)などは、比較的子どもに多いウイルス感染症で、これらを多く診てきた小児科医による診断や全身状態の評価、治療が大切です。
熱性けいれんとは、主に生後6〜60ヶ月までの乳幼児期に起こる、通常は38℃以上の発熱時に起こるけいれん発作です。熱性けいれんで起こる発作の多くは全身性のけいれんで、体が固く強張ったり、カクカクしたりします。けいれん時には意識がなくなる(呼びかけに反応しないなど)ことが特徴です。けいれんの多くは5分以内におさまるので、入院する必要はありませんが、発作が長引いたり、発作後に意識障害が続いたりする場合などでは、髄膜炎や脳炎などの感染症が引き金となっている可能性もあり、入院が必要となることもありますので、お子さんがけいれんを起こした場合は、意識が戻った後でも、念のためクリニックや病院を受診するようにして下さい。
熱性けいれんで重要なことの一つは、次の発熱時にまたけいれんを起こすかどうか、ということです。熱性けいれんの多くは一度きりのけいれんで終わりますが、けいれんの持続時間や、発熱からけいれんまでの時間などによっては、反復しやすい熱性けいれんがあることがわかっており、当院ではこのようなお子さんに対しては、発熱時にご自宅でけいれんを予防することができるよう、お薬をあらかじめ処方致します。もう一つ重要なこととして、熱性けいれんを起こしたお子さんは、将来てんかんに移行するのかということです。熱性けいれんのほとんどはてんかんに移行することはありませんが、移行しやすい因子を持つお子さんの場合は、慎重なフォローアップが必要です。
当院では、大切なお子さんに起こった熱性けいれんが、繰り返しやすいものなのか、また、てんかんに移行しないかを見極め、お子さんに合わせた治療を行います。けいれん時の対処法などについてもお示しできればと思います。ご相談下さい。
便秘は単に排便回数が少ない状態と思われがちですが、毎日排便があっても硬い小さい便が出るとか、排便時に痛がる、といった状態も便秘と診断されます。普段から下着に下痢便が付着し、下痢症として診断されていても、実は腸の中で便が詰まっていて、液体成分だけがその便の周りを通過して排出されているということもあり、これもやはり便秘です。便秘は何故良くないのか。腹痛や食欲不振を引き起こし、子どもの成長障害の引き金となりえます。また、尿路感染症や夜尿症の原因となっていたり、背景に牛乳アレルギーが隠れている可能性もあります。まずは医師に相談し、きちんと診断をつけることが大切です。
子どもの便秘には好発時期や契機として、①母乳から人工乳への移行あるいは離乳食の開始、②幼児におけるトイレットトレーニング、③学童における通学の開始や学校での排泄の回避、があります。特に②については、すでに便秘がある子どもにトイレットトレーニングを行っても上手くいくことはほとんどなく、かえって便秘を悪化させてしまう、ということにもつながりかねません。一旦トレーニングを止めることも必要になります。便秘の多くは成人期に持ち越すことがわかっています。当院では、便秘に対する適切な生活指導のもと、必要時にはすみやかに薬物治療をと考えています。